春野の山と渓流の里に日本一のATVゲレンデ |
石ころだらけの川原やでこぼこの荒地、ダートなどを走ることのできる四輪バギーのワイルドな走りを体験したいと、知人の横井さんを誘い、春野町にある「ATVスポーツランドはるの」に出かけた。
木枯らし吹く12月の半ば、年の瀬がひたひたと押し迫るのを身に感じながら、R362を二俣川に沿って遡る。途中で見かける標識が、これまでの「天竜市」や「春野町」から「浜松市」に変わっていて、山間の村が急に都会へ押しやられたような感じがした。
犬居から春野の町中を気田川に沿って進み、春野総合事務所(旧役場)の手前で「ATVスポーツランドはるの」の看板を見つけた。そこを右折し、県道63号線、熊切川に沿って進んですぐのところに、目指すATVランドがあった。中に入ると、木下昴之さんがにこやかに迎えてくれた。
その横には、テレビのレンジャーものに出てくるような、いかついマスクをしたATVがずらっと並ぶ。ここには、50CCから660CCまで6車種18台のATVがある。
こんなにたくさんの車種をそろえたATVゲレンデは、全国でもここだけ。アップダウンがある2600メートルものATV専用コースも、他にはない。インストラクターが初心者にもやさしくコーチしてくれるため、ATVは初めてという人や、「買う前に、いろんな車種のATVを実際に乗り比べてみたい」という人たちが遠くからやってくる。広島、姫路から泊りがけでやって来る人もいて、全国でも注目されるATVゲレンデだ。
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| ▲コース紹介:パンフレットから転載させていただきました。 |
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河内地区の人たちの手作り 「未来・夢・事業」 |
トラックコースを見ると、タンクを積んだ軽トラが、水を撒いている。見るからに手づくりの散水車。運転しているのは、近所のおじさんのようだ。
このATV スポーツランドは、地元の河内地区の人たちが、手作りで運営しているのだそうだ。「ATVスポーツランドはるの事業組合」の代表を務めている木下さんが、オープンまでの経緯を話してくれた。
「熊切川に囲まれたこのあたりは一町歩もある田んぼだった。道路を作るために埋め立て、後に畑にするつもりだった。ところが、山の石がごろごろ混ざり、とても畑にならない。地区の地権者たちが相談して、公園にしたらどうかという意見がでた。しかし、自然に囲まれた春野はどこもが公園みたいなもの。それじゃあ面白くないというので、乗馬クラブにしたらどうかという声があがった。部落の人たちが乗馬クラブを視察に行ったが、馬を飼う人がいない。たまたま、春野の産業祭のとき、仕事で関わりのあったヤマハ発動機のバギーを、イベントで試乗してもらったら、大変好評で、これをやろうということになった。」
そこで、地元の人たちで事業組合を作り、1年間かけて開設準備が手作りで進められた,。
「2メートルもある萱(かや)を自分たちの手で刈り、グランドを整地して、隣接する空地にコースを作った。専門的な知識もなく、手探りで試行錯誤しながら、真夏の暑い日もみんなで土を運んだ。田んぼを地目変更するのに1年もかかった。幸いにも、春野町の補助事業にも認定された。」
土、日、祝の営業日には、組合員が手弁当でやってきて、スタッフとして動き回る。2004年の10月にオープンして1年が過ぎ、これまでに約1000人の来場者があった。「今は無給でも、苦労で夢をもらっているようなもの。今後、これが地元の活性化やシルバーの雇用促進になればうれしい」と、スタッフの目にも充実感が感じられる。 |
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初回は安全運転講習とイメージトレーニング |
| さてATVの講習だ。 |
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| ▲申し込みに記入> |
>▲25分のライディングレクチャー |
▲装具を整える |
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| ▲操縦方法を教わる |
▲止まる練習> |
▲トラックでS字走行の練習 |
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初体験の私たちは、事務所兼教室で申込書に記入し、ビデオで約25分間の「ライディングレクチャー」をうける。この安全教育ビデオは、日本で始めてのもの。「教育用ビデオはこれまで日本になかったので、アメリカから取り寄せ、日本語に翻訳した。リメイクするのに1年間かかった」という自慢のもの。
ATVの特性と乗り方の基本・安全運転技術の知識を学び、イメージトレーニングして、いよいよ試乗のためグランドに出る。
服装は長袖に長ズボン。ヘルメット、手袋、ブーツを着用する。安全のための身だしなみだ。あれば持参するが、貸してもらうこともできる。 |
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トラックコースで、進む、曲がる、止まる |
初心者には、50ccのファンモデルか125ccユーティリティモデルが乗りやすいというので、「グリズリー125」に乗ることにした。スタッフの方が丁寧に操作方法を教えてくれる。サドルに腰をおろし、セルを回してエンジンをふかす。右手グリップのアクセルを押しておそるおそる前進。四輪がしっかりと大地を捉え、安定感がある。
両肘を構えハンドルを握るライディングスタイルはオートバイの感覚だ。ブレーキ操作で止まる練習をする。次にトラックコースに乗り入れ、アクセルレバーを押しこみ勢いをつける。全身に振動が伝わり、エンジンの響きも心地よい。少しづつスピードを上げてみる。カーブでは、体重を回る方向に傾けて、体重移動によって方向転換する。トラックを2週してから、赤い三角標識を縫ってS字の練習をする。 |
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足を踏ん張り、体重を移動してダートを駆ける |
トラックコースで運転の感覚をつかむと、いよいよグランドから外に出て、萱と雑木が生い茂るダートに乗り入れる。バギー1台が通れるでこぼこ道を、インストラクターの後ろから、慎重に進む。道をはみ出しても、石ころの上に乗り上げてもへっちゃら。アクセルをもどすと止まってしまうから、車体が少しぐらい傾いても、ぐいぐいと前に進めば、後はハンドルさばきで安定を取り戻す。30度もある坂を一気に駆け上がる。ヘアピンで草むらに突っ込みながらも無事軌道をもどし、次には急傾斜のダウンに差し掛かる。 その坂の手前ですくんで立ち往生してると、「アクセルを緩めて、エンジンブレーキで降りればよい」とインストラクターが教えてくれる。ハンドブレーキをかけるとハンドルを取られるから、エンジンブレーキを利かせるのがコツなのだそうだ。その通りやると難なく降りられる。怖がっちゃいけないのだ。
はじめの1周はインストラクターがついてくれるが、2周目からは自分で好きに走ってみる。そこで、車種を変えてチャレンジ。少しづつスピードを上げてコーナーやアップ、ダウンに挑戦してみる。両足を踏ん張り、体重を移動してバランスをとる。慣れてくると、ダートを走るマシンとの一体感に快感を覚えるようになった。 |
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免許がなくても、老若男女、手軽にワイルドな体験 |
ATVは安定感があり、アクセルレバーを放せばすぐ止まる。しかもここはATV専用ゲレンデだから安全だ。車両タイプは、「安定感があり実用的なユーティリティモデル」、「軽快なフットワークと機動力に優れたスポーツモデル」、「6歳の子どもから大人まで楽しめる入門マシンのファンモデル」といろいろ。車の免許の取れない子どもも、体力に自身のない熟年者も、スポーツライディングを楽しむモトクロスライダーも、老若男女、手軽にワイルドな体験ができる。機種によって、操作性に違いがあるから、いろいろ乗り比べてみて、その違いを楽しむこともできる。
この日、私たちを先導してくれたコースインストラクターの山下さんは、地元春野に住む大のATV好き。スポーツATVのハイパフォーマンスモデルYFZ450をパワフルに乗りこなしていた。全国のレースにも参加してスポーツライディングを楽しんでいるという。 |
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| ▲子どもから乗れる入門マシン50ccファンモデル |
▲パワフル4WDの660ccユーティリティモデル |
▲軽快なフットワークと走行安定性の350ccスポーツモデル |
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ATV&バーベキュー、自然や野外レジャーを楽しむ
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ここはもともとが気田川支流の熊切川が蛇行してできた河川敷、近くでは鮎やあまごなどの川魚が釣れる。春から初夏にかけては山菜取り、夏にはクワガタなどの昆虫取りなど、楽しみはいっぱいだ。ファミリーやグループで、バーべキューをやりながらATVを楽しんでもらえるようにと、ゲレンデには、バーベキューのできる場所を設けた(バーベキューセット貸し出し、席料1人200円、材料持込可)。ATVのレンタルは、1台についての料金だから、1台を交代で乗ることも、時間の中で車種を変えることもできる。このゲレンデを基地に、春野の自然と野外ライフを楽しんでもらえるような、いろいろなレジャーの企画も考えていきたいという。
グランドに立つと、なだらかな山が見える。「あの山の尾根沿いに山頂までバギーで登って、降りてくるコースを作ってみたい。」木下さんのこころには、春野の山のように豊かで果てしない夢が広がる。 |
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